和男は自分があまり幸福ではないと思えるくらいには幸福だった。何故なら自分が幸福であると思って悲惨な生活状況の人は大勢いるし、不幸であると思える内は未だ未来がある証拠だから、心底不幸ではないと言えるからだ。そしてその時和男は自分が立たされている状況を間違っても幸福であるなどと思いもしなかったものの、あまり即座に逃げ出したいなどとも思わなかった。それはある意味では変態的ではあるが、奇妙に人間臭のする京都在住の壮年と中年の夫婦の姿態を仰ぎ見ることがまんざら社会勉強的意味合いから無意味ではないと感じていたからである。
しかし先ほど多くの汁を滴らせて和男からのクンニを求めた君子のワギナから発せられた匂いは石榴のような匂いと、鰹節のような匂いが入り混じった感じだった。そして自分の精子が彼女の膣の中にぶっ放された時そこからとろりと滴る匂いは自分でもよく知っている匂いだった。それはチーズを嗅いだ時に匂う感じと、栗を嗅いだときに匂う感じが入り混じっていた。しかし他人の太いペニスがずんずんその時目の前で自分の体の上を跨いだ妻の君子に対して夫の壮年男性総一郎が突き立てるさまは、その果てに彼の精子がやはり後続者として妻の膣壁にぶっ放されることを想像すると、その時どんな匂いが放つのかそれは少し不安だった。他人の精子の匂いを嗅ぐことはあまりないからだ。
しかしよくいる未だ乳離れしていないような感じの青年と一緒に話をしている時に匂うあの匂いに近いものが他人の精子にはあるのかも知れない、とそう和男は思った。
本当は先ほど自分が彼女の膣の中で果てた時に既に彼の役割は終了している筈なのだから、そこから退散してもよかったのだが、何せ体勢が体勢である。最後まで夫婦の奇妙な格好のセックスを見守るしかその時はしようもなかった。
格好が格好なので、一度も和男は君子の豊かな乳房を鷲掴みにすることなど出来なかったし、それはその時の総一郎御仁にしても同じである。
総一郎氏は少しずつピストン運動を加速し始めた。そしてやおら「おおっ」と声を発して、一瞬体全体を身震いさせてから妻のコンの中にたっぷりと自分のザーメンを注ぎ入れた。妻はその瞬間
「あなた、総一郎さんの優しくて硬いおちんちんからいいものが出て来る」
と言った。
その瞬間、夫婦の奇声を誰か周囲の人が聞き耳を立ててはいないかどうか和男は内心心配だった。しかし少しずつ晴れ渡ってきていたその日、その場所に訪れる人はいなかった。予め君子はそのことを知っていた、最初からそこに来る積もりだったのだ。すると南禅寺でのあの彼女のしまったという一言はあたかも偶然そこを発見したということにしておくための巧妙な芝居だったのかも知れない。いやその場所に後から夫が駆けつけたわけであるから、当然それは予め全て仕組まれていたことだったのだ。すると昨日の例の君子による客用の寝室でのフェラチオもそうだし、夫もどこから覗き見ていたのに違いなかった。
和男は静かに妻のコンからペニスを抜き取った時、総一郎の赤銅色のペニスが意外と年齢の割りにはしっかりとした一物であることを見て取った。そしてその膣内の液体に塗れたぬるりとしたペニスを見て、後からそこに滴る精子を確認したかった。少し待っているとフロントガラスに項垂れている君子の体が呼吸の度に少しずつ動いていたのだが、彼女の膣から垂れてきた精子は意外と和男のとそう変わりない元気そうなものだった。
もし妊娠してしまったらどうする気なのか、そう和男は思った。DNA鑑定して貰い、自分の子なのか、夫の子なのか確認して貰わなければならない。あるいは子どもなどできはしない体なので、こういうプレイをした、あるいはよくこういう風に誰か特定のその気のある旅行者を掴まえては楽しんできていたのかも知れない、そう和男は思った。
Tuesday, December 8, 2009
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