Thursday, October 29, 2009

総一郎氏と君子との競演③

 和男たちは次第に君子が次々と運んでくる料理と酒のせいで大分お腹も一杯になって酔いも回ってきていた。しかし君子は「奥さんもどうですか?」と言って和男が注いだビールをニ三杯飲んだくらいで殆ど素面に近かった。
 総一郎氏は陽気に
「ここを最初に買った時は一体住み心地がいいかどうかと思っていたんですけれど、意外と住みやすいんで気に入ってもう一生住もうと家内とかねがね思っておるんですよ」
と笑いながらそう言った。
 しかし和男はもうこれ以上酒は飲めないという態度をそれでもどんどん君子が運んでくる酒を勧めるものだから、しきりに取っていた。しかし今隣に座っているのは君子だった。そして和男の持つグラスに更に日本酒とかチュウハイを注いでいる時それとなく和男の膝と腿の辺りに彼女がグラスに注ぐ右手ではない、空いている左手を持たせかけ、次第に摩るような仕草さえしたりしたのである。そのことを自らの足に感じる感触で見逃さない和男だったが、それも時折一瞬かなり明確に和男の下半身に刺激を加えるようにそうするのである。しかもその仕草があまりにも突発的に自然なものなので、総一郎氏は殆ど気にもとめていないようだった。いや意外とこういうことを平気で妻に自分が連れてきた客にさせている、そしてそれを承知で妻も楽しむ、そういう夫婦なのかも知れない、と和男は思った。
 和男は一度君子が奥の調理場兼台所に引っ込んで新たに何か川魚を調理している時に、総一郎氏が和男にもう一杯と極上の日本酒だと総一郎氏が言う酒を注いでいている時急に便意を催し、トイレに行こうとして「トイレお借りできませんか?」と聞いて、「あっちの奥だよ」と君子が立っている台所の手前の方を振り返って指差したので、そちらにソファから立ち上がって歩いていくと、何と奥の台所から君子が包丁を片手に、和男の方に振り返ってコケティッシュで意味ありげな微笑を彼に示し、一瞬だがウィンクをしたようにさえ受け取れた。明らかにあの表情と態度は和男を誘惑している風情だったのである。
 そのことは再び料理を運んできて和男の隣に座った君子が夫の総一郎がしきりに陶芸の話を和男にしている時、庭の方を一瞬夫が眺めている間に、夫には悟られないようにそれとなく再び君子が和男にウィンクをして、しかもその時和男の太腿を刺激するように摩りながら、おすねぼんさんの方へと往復させたことでも明らかだった。この女は明らかに自分のことを性的に誘っている、そう和男は確信した。しかも和男があまり君子の和男の膝と腿への刺激の仕方が巧い(それも一瞬目の前の夫の目を盗むように)ので、思わずペニスを勃起させて、明らかにそこを見つめている君子がはっきりと分かるくらいにさきほどまで縮こまってパンツの下に仕舞い込まれていたおちんちんがくくっと大きくなって、ジッパーによって閉じられているズボンを一気に窮屈な感じにしたので、内心では狼狽した。しかもあろうことか、君子はそれを察知したことを笑みで隣座っている和男に返して、しかも深い熱い溜息を和男の隣に座っていて、すぐに台所にも行けるようにしていて、和男は台所の方へ向いて、総一郎氏は台所に背を向けて座っていたので、必然的に和男の右耳に吹きかけたのだ。その瞬間和男の勃起は確定的に持続することとなった。もうこうなったなら、いっそ一度トイレにでも中座して一発抜かないと収まりがつかないものである。そうでなしにこのままずっとしていたら、尤もそれこそがこの君子の望んでいることなのかも知れなかったが、和男は総一郎と談話すること自体に無理を感じ取っていたのだ。

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